BUREAU D'ETUDES JAPONAISES 研究所

poetry & research

〒 YUBIN

Yubin triptych

郵便と都市


郵便配達員の視点を持って東京とそこにおける都市のコラージュの中を歩き回ると、この街には郵便受けがたくさんあることに突如気づく。明白にそこにあるものもあれば、隠れているものもある。郵便受けの様々なモデルは、建物の建築様式や築年数に応じた場合もあれば、そうでない場合もある。時には独特あるいは異常ともいえる郵便受けと出くわすのだ。

そうして、東京23区の郵便受けを類型学的なアプローチでおさめた小さな写真集がここに生まれた。

〒 YUBIN


これらの写真をまとめて「〒 YUBIN」というプロジェクトを出版したのだ。
〒という郵便記号(または郵便マーク)は、明治20年(1887年)に考案され、当時の逓信省(テイシンショウ)の頭の「テ」の文字を取って図案化したものであるそうだ。その後、郵便を管轄する官庁の名前がいくつか変わってきたが、記号は残っているのだ。また、「〒」は郵便番号を表示するときにも用いられる。

「〒 YUBIN」は45部のみの限定出版となり、日本語、英語、フランス語の説明文がついている。作品のフォーマットは36枚入りのはがきサイズで製本したカードブックになる。一枚一枚外せるので、はがきたちに切手を貼って旅立たせることもできる。

_______


"〒 YUBIN vol.4 MINATO-KU"。地元住民/通勤者/観光客などが行き交う港区は最近、大きな変貌を遂げつつあり、トラックミキサーの絶え間ない流れが、コンクリートの川を注ぎ続けています。


「〒 YUBIN vol.3 SUMIDA-KU」は、昭和の精神を体現した墨田区を描きます。


「〒 YUBIN vol.2 SHIBUYA-KU」のためには東京23区の中で最もはやっていると言われる渋谷区を歩いてきました。貼ってあるのは2円切手のエゾユキウサギ。

「〒 YUBIN vol.1 CHIYODA-KU」のカバーに貼ってある1円切手の肖像は「日本近代郵便の父」と呼ばれる前島密(1835-1919)である。

〒 YUBIN 往復


ご存知かと思うが郵便受けたちは便りがそうしているように世界を旅することを密かに夢見ているのだ。そのため、「〒 YUBIN」を手に入れた方の中には、研究所にはがきを送り返す方も居る。届き次第、こちらから更に一人一人に異なる未発表のはがきをお送りします*。そうすることで、皆さまとの郵便を通じたつながりもでき、全てのセットもユニークになります。
*YUBIN vol.3より

archive of received postcards received postcards